TBC気象台日誌

台風10号 統計開始以来初めて、東北太平洋側に上陸

台風10号が8月30日午後6時前、岩手県大船渡市付近に上陸。気象庁が1951年に統計を取り始めて以来、初めて東北太平洋側に台風が上陸しました。

台風10号上陸

8月19日に発生して以降、南西に進んで勢力を強めた後、また発生場所に戻ってくるという異例のコースをたどった台風10号。日本列島を挟んで東西に高気圧があり、その間が台風の通り道となっていたことに加え、日本海の寒冷渦に取り込まれるような状況になったため、東北太平洋側に上陸するというこれまでにないコースを取りました。

宮城県は予想していた程の大雨にはなりませんでしたが、上陸した岩手県の沿岸では北部を中心に、わずか数時間で平年の8月1か月分の雨が降る記録的な大雨となった所もありました。台風の中心に向かって海から吹き込む暖かく湿った風が北上山地にぶつかり、猛烈な雨を降らせる発達した積乱雲が発生したというメカニズムです。

仮に、台風が宮城県に上陸していた場合は、気仙沼から牡鹿半島にかけての沿岸で同じような記録的な大雨になっていたことも否定できません。今回、台風は牡鹿半島の東およそ50キロの海上を通過していきましたが、このわずか数十キロの差が岩手と宮城の被害の大きさを分ける形になりました。

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